[レビュー]川崎相手に見せた執念。宮本ガンバが初の無失点勝利飾る
前節、鳥栖との直接対決に敗れ、苦しい立場に追い込まれていたガンバ。攻撃力に秀でる前年王者の川崎に対して、本来はがっぷり四つの戦いを挑みたいガンバだったが「川崎に対しては現実的に戦うことも大事」と宮本監督は、守備に軸足を置く新布陣をピッチに送り出した。
「3バックのそれぞれの良さを生かしたい」(宮本監督)。ファビオを3バックの中央に配置し、守備時には5バックと中盤の4人で強固なブロックを形成する守備的な戦いはあくまでも対川崎を見据えたもの。しかし、ホームで勝ち点3を目指したガンバは、攻め気も忘れてはいなかった。
ホーム初先発となる小野瀬が縦への推進力を生かしてCKをゲット。7分には遠藤が蹴ったボールを菅沼が頭で合わせ、シュートはポストに嫌われたがそのこぼれ球をやはりホーム初先発となる渡邉が冷静に押し込んで先制に成功する。
理想的な時間帯の先制で勢いづいたガンバは、守備時に明らかに球際の迫力をにじませる。「幸先よく、点が取れた後、選手が下がることなく、しっかりとボールに対してアタックした」と宮本監督はチームの狙いをこう明かしたが、ブロックを形成しながらもカウンター時には縦への迫力を体現。15分にも遠藤の縦パスを受けた小野瀬がサイドを切り裂くと、中央には倉田と藤春が飛び込むなど鋭い攻めを繰り出していく。
1点をリードして折り返した後半は、チームがこれまでに得てきた教訓を生かす場だった。8月に喫した計11失点の全てが後半に許したもの。後半の入りは川崎戦のポイントの一つだったが「もう一度パワーを上げて点を取りに行こう」と檄を飛ばした指揮官の思いを選手は体現する。
54分、倉田と藤春のコンビで左サイドを崩して倉田が枠内に強シュート。この日2本目のCKを得たガンバは55分、ファビオがファーサイドで押し込んで川崎を突き放す。
流れのいい時間帯に待望の2点目を得たガンバだが、チームの守備意識の高さと気迫溢れる局地戦は、最後まで緩むことはなかった。「後半は多少苦しい時間もあったけど、今までと違って引いて守った後にカウンターで前に行けていた」と振り返るのは東口だ。渡邉が苦しい体制でもマイボールを収めたり、小野瀬や倉田が敵陣深くへと切り込んだりしたことで、終始カウンターの迫力を体現したガンバ。リーグ屈指の攻撃力を持つ川崎に対してほぼ決定機を許すことなく、完封勝利。
渡邉に待望のホーム初ゴールが生まれ、守備陣は宮本体制下で初の無失点。巻き返しに向けて確実に弾みがつく、貴重な勝利はチーム全員の執念でもぎ取ったものだった。
ガンバ大阪
・サイドの良い動き出しを活かそう。
・50:50のボールを奪い切ろう。
・後半もう一度パワーを上げて点を取りに行こう。
川崎フロンターレ
・守備は相手のプレスに対して、顔を出してボールを受ける。リスク管理をはっきりと。
・中と外をうまく使いながら、チャンスを作ろう。
・相手を見て、ていねいにやり続けること。